出馬にいたる過程を書きおこうと思ったけど、書けないことがまだ多いため、とりあえずみんなが椅子から転げ落ちた出馬会見について。
7月2日の敗戦の弁で「あー楽しかった」と言ったのは、実は今年の頭から決めていたことでした。まさか本当に言うとは思っていなかったので、一瞬「アホか」と思ったけど、彼は最初から楽しい選挙戦にしようと考えていました。『明るく楽しい兵庫県』をスローガンにしておいて、眉間にシワを寄せたものにしたくないし、ボランティア選挙になると決まったときに、みんなが辛い思いをする選挙にしたくないと考えたわけです。基本的にはとても優しいヤツです。
そして、最後のあいさつで。
兵庫県知事選 勝谷氏一問一答「イメチェン最大の間違い」(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/senkyo/2017/hyogotiji/news/201707/0010336953.shtml
-髪型を変えてイメチェンしたのは。
「わが陣営の最大の間違い」
これは、井戸さんと津川さんが白髪なので、若さを強調したい勝谷誠彦が同じ白髪で、しかもサングラスだと、知っている人は良いけど、知らない数百万人は「知事としてどうか」「若く見えない」となってしまうため、「髪の毛は染めよう」「サングラスはやめよう」となったのです。
今までの風貌では、すでに実年齢以上に見えていたので(同い年の私でも彼は老人に見える)、少なくとも髪の毛は染めて、メガネを変えようということになっていました。
ところが、黒く染めるのではなくベースがブラウンのカラーとなってしまったため、日が経つにつれてどんどん茶髪になってきてしまったのです。
メガネは「柔和さ」を演出するために、丸いフレームの色なしにしました。これが記者会見での風貌となりました。
記者会見には、前日に買ったスーツ(2着で29,800円?)を着てきて、その格好に一瞬驚きましたが、「知事選に出るんだから、これくらいでないと」と思いました。
このときのネットの反応は、「なんだこれは」「本人と思えない」という圧倒的な驚きでした。どちらかというとネガティブな。
勝谷ファンや、勝谷を知っている人からしたらマイナスイメージになってしまったのだろうけど、勝谷に関心が全くない人や知らない人からしたらどう見えたのか。特に勝谷を知らない若年層や高齢者はどう見たか。
ここで、本人の希望もあって軌道修正を行いました。髪の毛はしかたないのでそのままにして、メガネを以前の細いフレームのサングラスにする、と。
こうなると、街を歩いていても、「あ、勝谷さんや」と気がついてもらえることが多くなりました。しかし、それが有権者全体に対してどうなのか。これは私の中で最後まで不安材料として残りました。「知事候補としてどうなのか」と。正直言って、このときは「勝谷らしさ」を出していくのではなく、「知事らしさ」を作るために必死でした。
橋下徹さんもテレビではサングラスをかけていたけど、それがトレードマークにはなっていなかった。なので、立候補したときに髪の毛を黒く染めてサングラスを外したけど、特に違和感はない。しかし、白髪の短髪でサングラスがトレードマークだった勝谷誠彦はどうか。サングラスを外すと本人とわからなくなるし、かけていると印象が悪くなる。これには悩みました。
記者会見で、記者たちは驚いたようです。「これが、あの勝谷誠彦か」。しかも毒舌はなく、どんな質問でも受け入れる柔軟な姿勢をアピールしたからです。朝日新聞の記者に対して皮肉のひとつでも言うかと思いきや、4年前に自分の言動が原因で誤報を流させてしまった事に関して「あれは本当にゴメンね」と何度も謝っていて、逆に朝日の記者が恐縮してしまうほど。
出馬会見のあたりは連日ギリギリで進んでいて、事務所を決めた直後に電話番号だけ特急で取得し、政治団体の届け出を行った足で銀行口座を作りに行き、寄付の受付を開始するのに合わせてサイトをオープンするという、ひとつでも抜けてしまえば、全体が一気に狂ってしまう状況の中で、なんとか形を整えていきました。
出馬会見では、よく記者会見に使う格子状のタペストリーを背景にしたかったので、突貫工事でデザインして当日間に合ったんだけど、タペストリーを固定するフレームの設置方法を確認する時間も無く記者会見になるという慌ただしさ。実際は、他の候補との兼ね合いで、フレームは設置できなかったようだけど。
それでも、記者会見の雰囲気はとても和やかな感じでした。マスコミをボロクソに批判している勝谷誠彦が、終始ニコニコして「なんでも聞いてね」と言っているのだから、そりゃあ記者たちも驚くでしょう。「これは選挙が面白くなりそうだ」という期待も出てきたようで、会見が終わってからの記者たちの表情は、活き活きしているように見えました。
しかし、このときは、その後に来るドタバタを想像する余裕もありませんでした。