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日記 書き残しておきたいこと 長野

戦没画学生慰霊美術館『無言館』(長野県上田市)

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年に数回しか更新しなくなっているブログだけど、やめる気はない。「いつか書きたいことが出てきたとき」のために残しておきたいから。

でも、そんな時に書けるかというと「そのうちに」と思っていて書く機会を逸してしまうんですよね。

なので、ブログの更新は「毎週何曜日」とか「毎月何日」とか「毎日」と更新日を固定してしまうのが正解。ネタが無くても必ず書く。そうしないと続かない。

さて、「どうしても書いておきたい」と思ったのは、長野県上田市にある『無言館』について。

私が『無言館』を知ったのは、実はここ最近のこと。上田市出身なのに知らなかった。
というか、開館が1997年で、その時は安曇野にいたので知らなかったということにしておきましょう。

館主の窪島誠一郎さんとは、 長野県知事選(2000年)の時に作られた「自由な個人ネットワーク」で知り合った(私が参加したのは知事選後)。

木訥とした話し方で、豊富な話題を実に面白く伝える人。今まで5回ほど会っていたけど、すべて酒の席で、しかも画家の原田泰治さんと一緒にエロトーク満載だったので、そういう人かと思っていた。5月に上諏訪で行われた「平野稔さんを偲ぶ会」の2次会ではあまりに感動的なエロキーワード炸裂に、「これは忘れてしまうのがもったいない」とメモしていたら、隣にいた作家の日垣隆さんに笑われたくらい。

しかし、先日、故平野稔平安堂会長のスーパー秘書O嬢から案内が来て行った窪島さんの新刊『粗餐礼賛』の刊行記念トーク&ライブでは、全くそんな話は出なかった。まあ、ゲストが窪島さんが「先生」と尊敬する澤地久枝さんなので、無理もないかと思いきや、聞くところによるとこちらが本当で、エロトークの窪島さんは仲間との酒の席でしか見せないらしい。

そんな尊敬する窪島さんのライフワークである『無言館』に行かないのは不義理だと感じ、母を連れて行ってきた。

『無言館』は、

第二次世界大戦で没した画学生の慰霊を掲げて作られた美術館で、美術館「信濃デッサン館」の分館として1997年に開館した。館主は窪島誠一郎。自らも出征経験を持つ画家の野見山暁治とともに全国を回って、戦没画学生の遺族を訪問して遺作を蒐集した。
第53回(2005年)菊池寛賞受賞。 2008年9月21日に無言館第二展示館「傷ついた画布のドーム」がオープンした。(Wikipediaより)

館内撮影禁止なので絵を紹介することはできないけれど、ひたすら絵が飾られているだけの館内は、美術館としても戦争記念館としても異色で、圧巻だった。

無言館

展示されている作品には作家の享年が記されている。ほとんどが20代前半。
中には、家の外で戦地に向かう若者を送り出す「万歳」が聞こえている中、「あと、もうひと筆描きたい」と恋人や妻をキャンパスに描き、「続きは帰ってきてから」と戦地に赴いて帰らぬ人となった若者や、「せめてこの絵の具を使い切りたかった」ということばを残して発った若者もいた。

残された絵は、遺族にとってかけがえのないもの、もしくは辛くて思い出したくないものであり、中にはかなり傷んだものもあった。それをひとつひとつ説得し、思い出を語ってもらって寄贈された絵を展示したのが『無言館』なのだ。

私の稚拙な表現力ではとても真の姿を伝えることはできない。実際に行ってもらうしかないけれど、行ってみると窪島さんが人生をかけて続けているのがほんの少し理解出来たような気がした。

ちなみに建設時に借りたのは2億数千万円で、15年経ってまだ1億円強残っているとのこと。当然入場料(1000円)だけでは足りないので、窪島さんの私財も投入することになる。

実は、この話を聞いて、自分が運営していて、ほとんどビジネスとはならずに社会事業のようになってしまっている『ザ選挙』への取り組みも考えさせられた。

『ザ選挙』は、「日本を良くしていくためには選挙で真っ当な政治家が選ばれなければならないのに、現在のポスター、チラシ、駅頭中心の選挙では政策中心に政治家を選ぶことができない。だから選挙を変える仕組みを作る必要がある」という理念のもと、候補者の政策、実績、実行力などを有権者が判断できる仕組みとして開設されたものだ。だから、最も大切なのは、現在行われている選挙の候補者プロフィールであり、有権者が選挙に行く前に必ず確認するサイトでなければならない。

しかし、まだまだ候補者から発信される情報が足りず、選管発表の情報を記載するのが精一杯であり、理想的な形にはほど遠い。

その理想に向けて少しでも近づく努力をしていかなければ、日本の選挙を変えることはできない。本来であればインターネット選挙運動解禁で状況はかなり変わるのだが、「マニフェストに書いたことはやらない」という現政権では期待できない(本当はものすごく期待してるんだけど)。だから、自分にできることをするしかない。それは、なんとか「続けて行く」ことだ。それを『無言館』から学んだような気がした。

本当だったら、戦争の悲惨さとか、画学生たちの無念さを伝えるべきところ、結局自分なんですよね。すみません。

『無音館』のハヤシライス

第二展示館の「傷ついた画布のドーム」を見終わるころ、急に夕立のような強い雨が降ってきた。ちょうど昼食場所を考えていたこともあり、母と館内の食堂でハヤシライスを注文した。上品でどこか懐かしい感じのする甘いハヤシライスだった。カレーがなくてハヤシライスというのも、窪島さんらしい。

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