先日行われた金沢市長選は、歴史に“残すべき”選挙となった。
「金沢市長選:当選陣営がツイッターで選挙戦 指導を無視し」(毎日jp)
11月28日投開票の金沢市長選で初当選した山野之義氏(48)の陣営関係者が、公職選挙法で配布が禁じられている文書図画とされる簡易ブログのツイッ ターで、投票を呼びかけていたことが分かった。削除を求めた市選管の指導を聞かず、投票当日にも呼びかけていた。選挙結果は小差で、ネット運動が影響を与 えた可能性が高く、公選法改正の動きや来春の統一地方選に向けて波紋を呼びそうだ。【宮嶋梓帆、宮本翔平】
内容を見ると選挙運動そのもの。
私としては「あっぱれ」と言いたい。
記事によると、この選対の行動に関して、選管は少なくとも4回、電話で「指導」し、改善されないために石川県警に相談し、県警は警察庁と相談したが、「警告」は出さなかったという。
ここが非常に重要で、選管は公選法の解釈にのっとって「抵触する疑いがある」と判断 している。しかし、私も以前から何度も言っているように、公選法上に定義があるわけではなく、「文書図画に当たる」というのは単に「総務省の見解」であるだけだ。
だから、実際にネットを使った選挙運動が行われた場合、起訴できるだけの法的な裏付けは無いのである。
当選した山野陣営のネット選挙を担当した会社社長は「公選法は素人目には分からず、無視した」とのことで、警告を受けていたことを知らなかったという。これが本当であれば素人のなせる技だったと言える。
もし、この選挙に負けていたら見方は違っていたかも知れない。実際にネット選挙が僅差での勝利をもたらしたかどうかはわからない。むしろ怪しい。ツイッターでの呼びかけが、それほど効果があるとも思えないからだ。
しかし、まるでネット選挙が勝利をもたらしたかのような結果が出て、しかも敗れた山出保氏は、粛々と結果を受け止めて、無効を訴えることはしなかった。
「金沢市長選:ツイッター駆使に賛否 前市長異議申し立てず」(毎日jp)
これも素晴らしい。
冷静に選挙を分析すると、おそらく多選批判が争点となった選挙であっただろうと推測されるが、当選した若い市長の陣営がこのようなネット選挙を展開したことは、効果云々よりもむしろ歴史上の記録・象徴としての意味合いが大きい。
昨年の総選挙では、「選挙に関係ないことであれば良い」と解釈してブログを更新する候補者がいた。今年の参院選では、やはり「選挙に関係なければ良い」とか「音声なら良い」と解釈してブログやツイッターを更新する候補者がいた。
要は解釈の問題なのだ。
だったら、「法的には問題無いはず」としてネット選挙を展開する候補者がいても良い。ネット上には「悪法でも法」という意見もあるようだが、そもそも法的に定義されていないので、「遵守しようがない」というのが公選法なのだ。
今のところ、毎日新聞が主に報じ、産経新聞が軽く触り、他のメディアは追従する様子はないが、明らかにこの選挙は日本のネット選挙史上に残るエポックメイキングな出来事だったと言える。だから歴史に“残すべき”選挙なのだ。
まずは、今後の選挙、来年の統一地方選で、候補者は選挙期間中の演説日程を更新するべき。さらに余裕があれば、演説の結果や様子を写真や映像で流すと良いでしょう。
これらは公選法に抵触することはない。
ただし、これらの戦略が選挙結果に影響するかどうかは別問題。
選挙結果に影響するようになるためには、やはり公選法の改正が必要となる。
その話は、また後日(いつになるか…(^^:)