新入社員の立場で見ると
問題となるのは、就活している新入社員。
見かけの給与が高く、「うちは裁量労働制を採用しているので、あなたの生活に即した働き方ができます」とキャッチコピーが入り、政府の取り組みの紹介なんかもパンフに載せてあると、学生の多くは魅力を感じるんじゃないかな。
そして会社に入ってみて、パンフレットどおりの働きやすさだったらとても良い会社だということになるけど、そうでない場合は・・・こればかりは学生を責めるわけにはいかないでしょう。入ろうとする会社の働きやすさなんてわからないし、同じ会社内でも職場によって違うだろうし、今の就活生はネットでの情報があって、かなり会社内部のことも事前にわかると言っても限界がありそう。
裁量労働制導入の成否は、受け入れ側の姿勢や考え方、その態勢次第
でしょうね。
裁量労働制は『働き方改革』につながるのか
上記BOWGLの記事を読むと、そもそも『働き方改革』は、今後日本が抱える大問題である「深刻な労働者不足」の解消策として考えられた
- 働き手を増やす
- 出生率を向上させる
- 労働生産性を向上させる
を実現させるために立てられた政策なんです。そして、『働き方改革』の三本柱として考えられたのが
- 長時間労働の解消
- 非正規と正社員の格差是正
- 高齢者の就労促進
となる。理想としては、働きやすい環境を作って、女性や年寄りも前線で働けるようにして、同じ仕事であれば正社員と非正規社員との差をつけなければ、子育て後にビジネスの世界に復帰するママさんや、子育てしながら正社員と同じ条件で働けるママ・パパも増えるという考えなんですね。
政治は理想を語ってなんぼみたいなところがあるけど、リスクを想定して、その対応策も用意するのが行政で、それを議論するのが国会でしょう。理想だけ語っているのは政治家ではなく夢想家と言う。
損しそうな人が気をつけるべきこと〜まず知ることを
本来は、これを議論すべきだと思います。「残業代ゼロ法案」と言ってしまうと、みんなが損するように思えるから、政府与党としては「損しない人の事例」を出していけば世論を喚起できる。ちょろいもんですわ。
野党としては、法案の不備を突くのは当然として、やはり本当に損してしまいそうな人に自衛方法も提供した方が良いのではないでしょうか。そりゃあ、廃案に向けて頑張る気持ちはわかるけど、今の力関係からして、最後に通されてしまうのは避けられない。であれば、被害者となりそうな人に今から自覚してもらうのは大事だと思いませんか。
まず、先に書いたように、これから社会に出ようとする若者に向けて。そして、気がついたらみなし労働時間よりもかなり多く働くことになって、身体を壊してしまうおそれのある労働者。そして、給与がどう退職金などに影響するのか意識のない人や、自分がいくら税金払っているか知らない人。
企業に守られて実力を発揮できる労働者は、政府の読みだとほとんどになるんでしょう。だから、政府与党はバラ色の未来を見せる。しかし、被害者になる人も若干いるし、もしかしたら、かなりの割合で被害者になるかもしれない。しかも、ほとんどは「なんとなく損した感じ」という具合で。まるで「ゆでガエル」ですね。
結局、労働者自身が自己責任で防衛していかないといけないことになるので、制度を知って自分で行動できる人物だけが生き残っていくことになるのかな。
やっぱり弱肉強食・自己責任時代なんだな。