長野が寒すぎたからか、帰京するときにちょっと「風邪気味かな」と思っていたら、酷いアレルギー症状が出てきてしまいました。くしゃみ、鼻水ズルズル、そして咳も。
おかげさまで、一週間ほどで落ち着いたと言えるけど、まだまだ油断できませんね。
裁量労働制の違和感
国会では、裁量労働制の拡大について連日激しい議論が続けられ、その根拠となったデータが捏造されているとか、きな臭い方向に方向に進んでいっているように見える。
裁量労働制
裁量労働制は労働基準法の定めるみなし労働時間制のひとつとして位置づけられており、この制度が適用された場合、労働者は実際の労働時間とは関係なく、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされる。業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用できるとされる。適用業務の範囲は厚生労働省が定めた業務に限定されており、「専門業務型」と「企画業務型」とがある。導入に際しては、労使双方の合意(専門業務型では労使協定の締結、企画業務型では労使委員会の決議)と事業場所轄の労働基準監督署長への届け出とが必要である。(Wikipedia)
要は、「お前はこれだけ残業したことにして基本給にプラスするから、残業代は出さないよ」という制度で、今までその対応となる業種が狭かったのが、今後は広げようということ。言い方を変えると「いつも残業してもらっている分を最初から乗せて固定給にするから、働く時間は自分で決めろよ」て感じかな。ちょっと嘘っぽい感じもするけど、こんなもんか。
政府に好意的な意見を述べているコンサルが「『労使双方の合意と事業場所轄の労働基準監督署長への届け出とが必要』とあるから、野党が言うようなことにはならないよね」などとツイートしているのを見かけたけど、こんなのは実際どうにでもなるから、アリバイ作りみたいなもんでしょう。額面通りに受け取っちゃうと、本質が見えません。
『裁量労働制』は、安倍政権が目指す『働き方改革』の一環であって、そのもとになっているのが『一億総活躍社会』。
『働き方改革』についてはこちらがとてもわかりやすい。
5分で分かる「働き方改革」とは?取り組みの背景と目的を解説(BOWGL)
政府の考えをわかりやすく伝えてくれているので、ツッコミどころもあるけど、とりあえず理解するには十分だと思います。
経営者側の立場で見ると
経営者と言ってもいろいろいるので一概にどうとはいえないけど、普通は優秀な人材には頑張ってもらいたいから、まずは実態をちゃんと調査して、現実に即したみなし労働時間にする。優秀ではなく、単にダラダラ仕事している人は、無駄に給与を上げたくないので、評価方法を見直す。
社員には健康で実力を100%以上出してほしいから、ちゃんと自分の裁量で勤務形態を決められるように、社内改革を行う。
ところが、ブラック企業のような悪い経営者の会社だと、とにかく人件費を下げたいので、一見給与が上がったように見せかけて、みなし労働時間よりも少しでも多く働かせようとする。「増えた人件費分の元を取る」ぐらいな意識。
労働者側の立場で見ると
私は、会社員時代は有給消化率はほぼ100%だった。本当は当たり前のことなんだけど、それが当たり前でなく自慢に取られてしまったり、サボっているように見えてしまうのが、日本社会の良くないところなんですよね。
どこの会社にもいるのは、有給休暇を溜めてしまっていて、退職するときに一ヶ月とかまとめて取得するような人。このような人が一番多いんじゃないかな。権利はあっても行使しにくい環境にある職場は多い。
ある日、「あなたはこれから裁量労働制の対象になります。みなし労働時間はこれこれで、給与はこうなります」と言われる。
繁忙期はみなし労働時間よりも長く仕事することになり、それはそれで「落ち着いたら休むぞ」と思って頑張るが、暇になったときに遅く出社したり早く帰ったりしにくい職場だと、結果として「裁量」とはならずに「自分は損している」と思ったまま働くことになる。これが何年も続くと、モチベーションは下がるし、場合によっては心の病になってしまうかもしれない。
また、常に忙しいような職場の場合、ずっとみなし労働時間よりも長く働くことになって、やはり気がついたら病気になっていることも考えられる。
つまり、「裁量労働制」は会社の姿勢や職場の雰囲気、上司の考え方などを整えた上で採用するのが前提となり、そうでない場合は失敗に終わる可能性が高いと言えるでしょう。