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2009.11.13 事業仕分け3日目。「二重構造だと指摘されました」と問題の本質を分かっていた毛利衛さんに対し、ツイッター内で十分な議論が出来る可能性は無い。

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途中と最後の部分を加筆しました(14日13時22分)

一昨日のエントリーでは、ライブ中継+ツイッターの可能性を絶賛したのに、今日は失望を感じる結果となってしまった。もう少しまともだと思っていたんだけど。

経理の打ち合わせが終わって「ながらライブ」のようなことをやり始めると、やはり仕事の効率が落ちてしまう(涙)。さらに「小飼弾さんと開発の山路さんのダダ漏れインタビュー」を見ながら、第2ワーキンググループの事業仕分けをライブで聞いていると頭の中がいっぱいいっぱいになってしまう。でも面白いけど。

インタビューが終わって、引き続き第2ワーキンググループの映像を見ながら、ツイッターで第3グループのハッシュタグをクリックしてみると、あれ?なんだか不穏な空気。

丁々発止のやりとりと並行して、予算が削られることへの批判から、仕分け人へのキツい批判が多くなっている、いわば「炎上」状態だ。

「もう論文を書く気がない」「求職活動を始める」などはまだ可愛いもので、外国人参政権を取り上げたり、中には「最悪のシナリオでは日本は滅びる」といったものまであり、軽い集団ヒステリー状態になっていた。

そんな中、元宇宙飛行士で日本科学未来館館長の毛利衛さんが、日本科学未来館を運営する科学技術広報財団への助成金を要求する側として登場してから空気は一変した。
とにかく仕分け人からの質問に対する回答が早くて的確だ。そして自分の主張や夢も盛り込んでいく。

ツイッター上には「毛利さん、すげー」「毛利さんかっけー」などと言った簡単なものから、プレゼンの上手さを評するものなども登場し、騒然とした雰囲気になった。

ただ、聞いていると、日本科学未来館について第三者に評価してもらった時に、「二重構造を指摘された」と毛利さんは答えた。毛利さん自身、何が問題なのか実はわかっているように思えた。それは、事業仕分けが終わってから出された、以下のコメントに現されている。

行政刷新会議ワーキンググループ「事業仕分け」の結果について

11月13日に開催された政府の行政刷新会議ワーキンググループ「事業仕分け」の結果、日本科学未来館は「予算の縮減努力をおこなう。条件として、運営業務を担っている科学技術広報財団を見直す。」ということになりました。これは、科学技術広報財団自体に問題があるのではなく、日本科学未来館の中の二重構造自体に問題があるということです。これを期に、一体的な組織として活動できるよう努力してまいります。



日本科学未来館 館長 毛利衛(日本科学未来館サイトより

そう。結果は「予算の縮減努力をおこなう。条件として、運営業務を担っている科学技術広報財団を見直す」なのだ。
ところが、結果をちゃんと聞いていないのか、聞いていても頭に血が上ってしまっているのか、「未来館廃止」のコメントがどんどん入ってくる。

仕分け人のいったい何人が「未来館は廃止」などと言ったのか?

こうなると、別にツイッターでなくとも議論にはならない。「予算が削られる」と思った瞬間に思考が停止してしまって、税金がどのように使われていて、それは妥当なのかというところまで考えが行かなくなるのだ。

たとえば、財団を大幅にリストラして、余った資金と人事権を毛利さんに与えたら、未来館は今よりもっと良くなるのではないか。

おそらく今までは、密室で決められた財団の予算を有効活用するわけでなく、毛利さんのパーソナリティと経営努力によって毎年伸びてきたのだと思う。

であれば、今まで隠されていたお金の流れを明らかにし、途中搾取を無くすことにより、我々の税金をさらに日本の科学技術振興に役立てていくチャンスが来たとは考えられないだろうか。

スーパーコンピューター(スパコン)にしても、世界に誇る富士通、日立、NECの大型コンピューターメーカーのうち、すでに経営上の理由で日立とNECが撤退したところに、今までと同じように予算を注ぎ込んで、本当に世界最高のスパコンを作ることができるのだろうか。現在でも国産品ではないスパコンを使用している分野があるのに、無理して国産でいくことの意味はなんだ?スパコンは海外製にしておいて、研究にお金を投じるといった発想はだめなのだろうか?
個人的にはBTRONも守れなかった日本に何が「国産スーパーコンピューターだ」と言いたい。

さらに、今回「仕分けられる」方の財団関係者や官僚たちは、事業仕分けが始まってから丸二日間あったのに、仕分け人の質問や進め方を予測して、あらかじめ論破できるだけの準備をしてこなかったのか?もし、毛利さんが何らかの理由で会場に来られなかったら、いったいどうなっていたのだろう?

ああ、だめだ。眠くて起きていられない。

最後のまとめは、起きてから書きます。

というわけで続きです。

今回の仕分け程度の結果を見て、「もう日本の研究開発は終わりだ」などと嘆き、仕分け人を攻撃する風潮が出てくるのであれば、そんな研究開発は辞めてしまえ、と言いたい。

なぜ、この仕分け作業があるのか。公開されることにより何が明らかになっているのか。今回の仕分け対象になった事業の予算が縮小・廃止されることにより、どのような影響が日本の研究開発全体に及ぼされるのか。そして、解決策は何か。

その程度のことを考えられない技術者や研究者、そしてその卵たちに日本の将来を任せるほど、日本は余裕を持ち合わせてはいないのだ。

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