なんと、次の水曜日はもう新年なんですね。毎度のことながら、年末の野暮用がまだいろいろあって焦っております。
先週、立憲民主党について書いたのは、ちょうどNHK「ニュースウォッチ9」の取材が入って喋ったからで、NHKはネット選挙解禁時の「クローズアップ現代」以来。思いがけず親孝行ができて良かったです。
ニュースウォッチ9「若者が“保守化”? “2人に1人が自民”」
この番組のテーマは、「若者が“保守化”? “2人に1人が自民”」というもので、先の衆院選では18歳〜20代の49%が自民党に投票し、世代別で一番多かった。これは若者が保守化したという意見があるが、それは本当だろうか、という内容だった。
若者が“保守化”?“2人に1人が自民”(NHK「ニュースウォッチ9」)
まずは、原田謙介(通称ハラケン)君が代表を務める「YouthCreate」主催のイベントのようすを流し、与党に投票した人と野党に投票した人の意見を聞く。
次に、調査結果から若者の今の生活への満足度が高いことを指摘し、そこから安定を希望する方向に向かったのではないか、と調査を行った東大の橋元良明教授のコメント紹介する。
そして、自民党のネット戦略を紹介する。ここで平井卓也広報本部長のコメントを流し、続いて立憲民主党の取材VTRと、福山哲郎幹事長のコメントを紹介した。
このあと、私の取材VTRが流れる。言いたかったのは、「ネット戦略では自民一強が続く。しかし、別に突飛なことをやっているのではなく、地道にストレートに、分かりやすく情報を伝えていくというのを、ずっと継続してやっているところが強さだ」ということ。ディレクターもそこを取り上げてくれた。若干自民党の戦略を称えているコメントになっていたんだけど、自民党が一番熱心にやっているんだからしょうがない。
そして、再度東大の橋元教授がVTRで登場し、「もう少し政策を真剣に考えてみてもいいのではないか」とコメントした。
最後に、ハラケンのコメントがフリップで流れた。
このフリップでは「”若者が何も考えず現状維持で自民”は短絡的」「大人も政治と向き合い若者と積極的に議論を」と書かれていて、これに対しMCの有馬さんがこう解説している。
VTRで紹介した大学生のイベントの主催者・原田謙介さんはこう話しています。
『“若者が何も考えず、現状維持だから自民に投票した”というのは短絡的ではないか。むしろ、大人も政治と向き合い、政治について若者と積極的に議論するべきだ』。
つまり、原田君は若者が右傾化しているとも言っていないし、それを批判するどころか、言っていることは真逆であって、選挙結果を見ただけで「右傾化した」とか「保守化した」と考えるのは短絡的だ、と言いたかったわけだ。短絡的なのは大人の方だ。だから大人も政治に向き合って若者と議論して欲しい、と。
netgeekの偏向記事
この番組を、ネットメディアの netgeek が取り上げた。
【炎上】NHKが偏向報道で若者バッシング「2人に1人が自民党支持。若者が短絡的に保守化している」(netgeek)
どうやらNHKは自民党が大嫌いなようだ。悪意ある編集を加えて、自民党を支持する若者たちが間違っていると紹介する。
構成としては、若者を紹介してから有識者の反対意見でまとめるというもの。
この記事の中では、自民党の平井広報本部長のコメントも私の「自民党が一強」コメントも無い。
そして驚いたのはハラケンのコメントを
▼NPO代表の意見。これもまた若者が保守化している証拠として取り上げられる。
と紹介していること。
逆でしょう。全く理解できていない。記事には
番組は終始、自民党支持の若者に対して悪意が感じられるものになっていた。
と書かれているが、この記事こそ終始NHKに対して悪意が感じられるものになっていた。
今までも、netgeekは一方的な偏向記事が多かったけれど、今回は自分が関わっていただけにその酷さがよくわかった。
ただ、番組を見ずに記事だけを読むと勘違いしてしまうかもしれない。実際、Twitterにはそれこそ”短絡的に”NHKを批判するツイートも散見できる。
しかし、このように番組を見た人が記事のおかしさを指摘するものもあった。
【炎上】NHKが偏向報道で若者バッシング「2人に1人が自民党支持。若者が短絡的に保守化している」 https://t.co/x2WM22A4Huこの記事ちょっと変。私も番組見てたけど、NPO代表の原田謙介氏は「“若者が何も考えず現状維持で自民(を支持している)”(という見方)は短絡的」と言っているのであって。 pic.twitter.com/Nvek5jhtM2
番組を見ていない人に間違った認識を植え付けるような記事を書き、タイトルに【炎上】とまでつけて、さも番組が炎上しているような”印象操作”を与えるものが、はたしてメディアと言えるのだろうか。運営元が公開されていないために、特定組織の関与を疑う声も聞くけれど、それは噂にすぎないので、ここでは取り上げないでおきます。メディアをうたうのであれば、運営元(責任者)を明確にするべきであり、記事も記名記事にするべきでしょう。
私は大学でメディア・リテラシーを教えることもあるので、この記事を題材にすることはあるかもしれないけど、通常の生活の中で、このような記事の虚報性を見抜くのは難しいかもしれない。実態を知っている人はその都度真実を発信し、信用できるメディア、信用できる記事が何であるか伝えていくしか無いのだろう。
人工知能が高確率でフェイクニュースを判定できるようになるまで、時間も手間もかけて人間様が伝え、残していかなければならないんだな。