西宮に来ております。
甲子園球場の近くの居酒屋に入ったら、気になるものが。
「甲子園ヒーロー揚げ」
旨かったなあ。「にんにくしょう油」味。二人だったら4種類を一皿ずつ食べても足りなかったかも。
他にいるのは常連客3人のみ。
「勝てへんなあ。まだ一勝か二勝やろう」
「まだオープン戦やで。(ペナントレースに)入ってもダメちゃうか」
「だめやろうな」
(関西弁は若干不正確)
良いな、関西。
本当は顔認証技術のことを書きたかったし、政治的な話題はあとで読んだときにバランスが悪くなるのだけど、ニュースは佐川証人喚問一色だったので、とりあえず自分の視点で感じたことだけ書き残しておきます。
佐川証人喚問の既視感
まあ、大方の予想どおりというところではないでしょうか。結果論となってしまうけど。
「刑事訴追のおそれがあるのでお答えを差し控えさせていただきます」という一辺倒で終わるのではないかと言われていたので、野党側は当然それを予想した対応となるはずだった。
しかし、事前に流れていたSNSでの投稿を見ていると、野党側から佐川氏に対して「本当のことを真摯に述べてもらいたい」「ここで嘘をついたり官邸をかばうと、一生窮屈な人生を送ることになる」などという感じの、佐川氏の逆襲に期待したものが多かった。
私も、3%ぐらいは「これだけ自分ひとりのせいにされてしまっているんだから、民間人になったことだし、ここで洗いざらい全部ぶちまけてヒーローになる道も考えるんじゃないか。どうせ良くも悪くも目立つんだし」と考えていた。
しかし、佐川氏は完璧だった。自分ひとりではなく、理財局の責任ということにしてしまい、さらに官邸や政治家の関与はないと言い切った。
「責任回避で支離滅裂」作家・佐藤優氏(産経ニュース)
作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏の話「官邸、財務省、自分の3つを守る連立方程式を解こうという思いが透けて見えた証人喚問だった。官邸や財務省を守ることで自分自身を守ろうとしたのではないか。
今回の口火を切った朝日新聞は、「疑惑は深まった」としながらも、どことなく勢いに欠けるニュースタイトルが並ぶ。
今回の証人喚問次第では、官邸は下手すれば火の粉が飛んでくるどころか、丸焦げになるおそれもあるので、それだけは避けたい。だから何もせずにいるわけはない。
ここからは妄想です。本当のこともあれば、単なる想像のこともあるので、あしからず。
もしも私が関係者だったら、まず佐川氏の退職金を確実なものにする。そして、それとは別に表に出ない待遇を考える。つまり、佐川氏が何も言わなかったとしても、この先一生家族も含めて苦労しないように考える。
実際は、どう見ても黒だろうという案件を白にしてきたヤメ検を付けて、官邸を守りつつ自らの身も保つという一石二鳥をやってのけた(表向きは)。
佐川氏が相談していた補佐人は特捜部OBの「ヤメ検」(産経ニュース)
佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問で、佐川氏の後ろに座り、時折相談に乗っていたのは、補佐人を務めた熊田彰英(あきひで)弁護士。検事から転身した、いわゆる「ヤメ検」弁護士だ
誰が指揮したかわからないが、考えうる最高のチームを編成して野党の攻撃に備えた。
自民党としては「安倍首相、昭恵夫人、麻生財務相の関与は無かった」ということだけは明らかにしておく必要があった。逆に言えば、誰のせいでも良いので、ここだけ押さえられれば政権は維持でき、自民党もやりやすくなる。
佐川氏はすでに退職しているので、財務省がどうなろうと構わない。政権を守り、自分も守るとなると、責任を理財局に押し付けることになる。
丸川議員による誘導尋問はイントロであり、野党は佐川側のシナリオを崩すことができずに、震えが来るくらい緊張するはずの答弁の合間に出た佐川氏の薄ら笑いを誘うこととなった。
野党はワンパターンだったか
野党は、最初に「これから質問することは、刑事訴追の対象になっていないことです。これを答えられないということは、本当のことを言うことによって、困る人がいるからです」とすべての質問者が言ってから質問を始めれば、中継だけでなく、その後のテレビ編集においても有利に進められたのではないか。
「6分間しか質問時間が無いのに、余計なことを言う暇はない」と言われそうだが、6分しか無いので、その中で印象深いシーンを作る必要がある。どうせ佐川氏がちゃんと答えないのであれば、ちゃんと答えないところを「本当のことが言えないんだ」と国民に印象づける必要がある。そのための戦術を考えていたのかどうか。
全体の印象としては、野党側は理詰めで追い込んでいこうとしていたのに、シナリオ通りにいなされた感がある。残念ながら佐川側の勝利と言えるのではないか。
自民幹部「佐川氏の勝ち、昭恵氏呼ぶ必要ない」(朝日新聞)
証人喚問を終えて、野党は当然「これでは何も解明されていない。よけい疑惑が深まった」と言い、「安倍昭恵氏、谷査恵子氏、迫田英典氏の証人喚問を要求する」と気勢を上げる。何も解明されていないというところは同感だが、今回官邸の関与が無かったと結論づけられたことで、これは官邸と自民党の勝ちだ。今までもそうだった。証人喚問のあと、「これでは疑惑が深まるばかりだ」と言ったところで、国民の関心は徐々に薄れる。今週末の緊急世論調査を乗り切れば、内閣支持率は関税問題はあるにしても、支持率下落が下げ止まりになるか、上昇に転じることになる。
問題は世論調査
やはり問題は今週末の世論調査であって、国民の総意としてどうなるか。
私自身は何も解決していないと思っているけれど、自民党支持層や多くの国民からしたら、「いつまでモリカケやっているんだ」「これ以上やっても何も出ないのではないか」「どうせ昭恵さんは出てこないだろうし、谷とか迫田とかよくわからん」となるので、これで新年度が始まって予算が成立すれば、あとはまた支持率が上昇していき、不支持率を逆転して、より強い安倍政権が出来上がる。
ほんとにそうなるだろうか。
佐川氏が実刑にならず、結局財務省理財局の何人かが責任を取らされ(誰も取らない可能性すらある)、昭恵さんをしばらく隠しておけば支持率は戻るのか。外交 でニュースとなっている関税は、国民の実感からは遠いし、トランプのせいであって安倍さんのせいではないように見せることも可能なので、支持率には影響ない。
支持率を急降下させた国民の怒りは、そんな一時的なものだったのだろうか。
期待と現実は分けて考えなければならない。自分の思いが強ければ、現実が曲がって見える。選挙に例えると、自分がある陣営に関わってしまうと、その陣営に入ってくる情報をバイアスがかかったものとして見られなくなる。よって、「当選するのではないか」という期待が膨らんでいき、現実を見たときに「なぜだ」となって冷静な分析ができなくなってしまう。今まで何度も見てきたし、自分で間違えたこともある。
はたして今回はどうなるのか。
自民党が「これでモリカケは終わり」とすればそのように進み、真相究明を期待していた国民の中には「また同じか」という失望感が広まり、「やっぱり安倍政権にしっかりやってもらうしか無い」という消極的支持層が、支持率を戻してしまうように思える。もう内閣総辞職は無いだろうけど、もしここで安倍首相が代わっても、来年の消費増税で経済は冷え込み、それでもオリンピックで一旦持ち直したあとに経済は衰退していく。どうにもならないところまで行ってしまうかもしれない。
野党は、さらなる追求を求めていくけれど、それもマスコミと国民の支持があってこそ。国会が淡々と進んでしまえばいつの間にか「過去の話」となってしまう。昭恵、谷、迫田の証人喚問の可能性が無いのであれば、それを前提とした作戦を建てなければならない
今後の展開、注目点としては
- 検察による捜査の進展
- 新たな事実の発覚
- 内閣支持率の行方
こんなところか。言い方を変えれば、これくらいしか突破口はないことになる。支持率に関しては、中国と北朝鮮の問題や関税問題など、安倍さんの強気の発言できた外交での失点があるかどうかも関係するだろうけど、それも適当なことを言ってメディアが流してくれれば特に影響は無さそうだ。
いずれにしても、広がる失望感を次の展開にしていかなければ、このままフェイドアウトになってしまう。56回?に及ぶ答弁拒否は、誰の目にも「何も解決していない」と見えるのに、「片付いたもの」として進んでいってしまう違和感。
今回、このままで終わるとしたら、それは内閣支持率の上昇をもたらすように見えて、政治不信を増大させ、長い目で見た日本国の衰退につながっていく。
はあああ・・・