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インターネットと選挙(3)選挙はこうなる!

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「ザ・選挙」休止に伴い、以前掲載した記事をここに移しておきます。

2006/07/13掲載

最終回は「公選法改正でどのように選挙が変わるか」ということを予測したい。予測なので、当然外れることもある。来年の参院選が終わったときに、私の予想が当たったか外れたか酒の肴にでもしていただければ本望である。

有権者の意識が大きく変わる

まず立候補者側だが、サイト開設率が飛躍的にアップする。実は、現在国政選挙こそ8割以上の開設率だと思われるが、地方選挙においてはさほど高くない。それは、公式サイトを開設しても、それを告知する手段が限られていることと、有権者側に候補者の情報が届かないからだ。

この『ザ・選挙』サイトでは、日本で行われるすべての首長・議会選挙の候補者情報を掲載する。そのため、立候補者が公式サイトを開設すれば、ほぼ漏れなくそのURLが掲載され、有権者はネットを通じて候補者のサイト比較ができるようになる。『ザ・選挙』サイトだけでなく、選管でもURLを表示するようになり、マスコミのサイトでも掲載するようになるため(現在は掲載していない)。国政ではほぼ100%、自治体選挙においても8割以上の候補者が公式サイトを開設するだろう。

そうなると、変わるのは有権者の意識である。有権者は告示日翌日もしくは翌々日に新聞サイトや選管、そして『ザ・選挙』で候補者の公式サイトを確認する。そして投票日までに候補者間の比較を行い、選挙に臨むのである。現在のように投票日になっても誰が出ているのか分からないまま投票所に向かったり、「誰が出ているか分からないから行っても意味ないや」とか「誰がなっても同じだろう」と思って棄権する数も減るはずだ。

見栄だけのホームページは見透かされる

「ホームページなんて金をかければ良いものができるから意味ないよ」と考えるのは、ある意味正しい。国会議員の公式サイトを見てみると、メールのことを知らないにもかかわらず、ITに精通しているかのようなイメージを作っていた議員や、性犯罪を犯したのに人間愛を説いているような政治家など、胡散臭さ満載だ。知人がホームページ作成ソフトで作ったままになっていたり、業者がきちんと作ったかのように見えるものの前の年に更新したままだったり、リンク切れが1年以上放ったらかしになっていたり、いくつか比べてみるとうんざりしてくる。

しかし、最近はブログがあるし、政治家専用のシステムもある。本人の意気込みがあれば、お金をかけずにそこそこのデザインで必要かつ十分な情報を発信することが可能なのだ。むしろ形だけの豪華なサイトよりも、日々の活動をきっちりと報告し、本人の考え方や表情が読み取れるようなスリムなサイトの方が好まれる。要は市民の側に立った作りと運営が成されているかどうか、が一番重要なのだ。

そうなると、「お金が無いから良いホームページが作れない」というのは理由にならない。忙しいと言っても、事務所でも自宅でも、そして携帯からでも更新できるとなれば、「あー忙しい」の一言も更新できない議員は、怠けていると見られても仕方ないだろう。

情報発信力は政治家に必須

「ITスキルが無い」議員はかわいそうだとは思うが、やはり理由にならない。むしろそのような議員は若かろうが年配だろうが早く引退をすべきだ。例えば、最近は携帯電話を使えない議員は「仕事ができない」と思われても仕方ない状況にある。国会議員を例に挙げると、以前は黒塗りの車に乗り込んでふんぞり返っているだけでも議員はできたかもしれないが、今は車の中でも常に携帯電話を使って関係者と連絡を取り合っていなければならない。それぐらい時間を惜しむ仕事なのだ。長距離の移動は仕方ないとしても、日々の近距離の移動に電車を使うことは、こと国会議員に関してはあまり有効ではない。「私は携帯電話とかパソコンが苦手でねぇ」などと言ってふんぞり返っている議員は、まず地域のお年寄りと一緒にパソコン講習会に参加することをオススメする。

誹謗中傷にはネットならではの対応を

気になるのは、誹謗中傷の類だ。今でも政治家は標的にされやすい。特に女性議員は狙われやすいし、目立つので影響も大きい。以前も東京都内のある女性議員が個人的な話題で誹謗のターゲットにされ、訴訟問題にまで発展しそうになったことがある。私は、政治家は安易に掲示板を立てたり、ブログでコメントを受け付けるのは止めるべきだと主張しているが、掲示板やコメント欄が荒れないのは、閲覧者がほとんど身内だけだったり、差し障りのない話題しか取り上げていないからであって、センシティブな話題を取り上げたり、一度ターゲットにされて対応を間違えると、一気に炎上そして閉鎖へと追い込まれるので注意が必要だ。掲示板やコメント欄をオープンにすると一見賑わっているように見えるが、政治的に意味のある成果が得られるケースは皆無に等しく、ほとんどは参加者のマスターベーション的な満足と多大な時間との引き換えで終わるケースが圧倒的だ。

誹謗中傷に関しては、なかなか有効な手立てが無いので、公選法により掲示板の管理者そのものに網をかけるか、監視とトラブル発生時の対応を強化しなければならない。ただ、この手の規制や対応はいたちごっこになる恐れが大きいので、むしろ有権者の自浄作用を誘発するような仕掛けを作っていく方が建設的であり効果的であると考えられる。

対抗馬への攻撃や、お金をかけたネット選挙も出てくるだろう。現在でもいくつか考えられる。ただ、これに関しては別にネット上だけでなくリアルな世界でも起こっていることであり、インターネットであるが故の影響力は否定できないが、「ネットだから危険だ」と見る理由にはならない。怪文書が、対象となった候補者でなく撒いたと思われる候補者側にマイナスイメージを植えつけることもあるのと同様に、ネットも攻撃を仕掛けた方が不利になるような展開はいくらでも考えられる。

お金をかけた場合も、短期の選挙ではある程度有利に働くかもしれないが、有権者の目は肥えてきており、業者作成のきれいなデザインに動かされるケースは減ってくるだろう。むしろ、トップページの情報量や、サイト内の動きやすさが好印象につながるケースが考えられる。つまりGoogleの思想と同様に、実際の内容と異なった姿を見せようとしているものや、邪悪なものは排除される方向に進んでいくだろう。

影響は大きい

他にもいろいろな影響は考えられる。「大して票は増えないだろう」と考えている候補者は気をつけたほうがいい。変わるのは候補者側ではなく有権者側なのだ。しかも、意外と都会よりも地方の変化が大きいのではないかと私は考える。

最後に。

有権者が候補者どうしの過去(プロフィール、バックナンバー)・現在(活動報告・近況報告・自己紹介)・未来(政策・マニフェスト・ビジョン)をネット上から自由に比較できるようになり、“正しい”選択に近づけるようになったとき、選ばれる政治家の顔ぶれが変わり、自分の住む地域が変わり、そこから波が発生して、最終的に日本が良くなることを私は信じるのである。


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